Googleが、アメリカ史上最大級の屋外生物学的実験を間もなく実施しようとしている。EPAに対し、フロリダ州とカリフォルニア州に細菌感染した蚊を合計6400万匹放出するための実験的使用許可を申請しているのだ。
この計画では、Wolbachia菌を感染させたオスのCulex quinquefasciatus(ネッタイイエカ)を2年間にわたって大量に放つ。オス蚊は刺さないため、直接人間を咬むことはないとされるが、野生のメスと交配すると卵が孵化せず、世代を重ねるごとに蚊の個体数を人工的に抑制する仕組みだ。
しかし、私は生態系への影響を深く憂慮する者として、この規模の実験に強い危機感を抱いている。6400万匹という途方もない数の「人工的に改変された」蚊を、居住地域を含む広大な屋外環境に一気に解き放つ行為は、単なる害虫駆除の域を超えている。
自然界では、蚊は鳥やコウモリ、魚、トンボなど多くの生き物の重要な餌となっている。この食物連鎖の一部を人工的に大きく減らしてしまえば、上位捕食者の個体数減少や、局所的な生態バランスの崩壊を招く恐れがある。特に「魚がこれらの蚊を食べる」という自然の摂理を、人間が強引にねじ曲げてしまう危険性は無視できない。
さらに、放出された菌感染蚊が想定外の地域へ拡散したり、他の昆虫種や微生物群集に影響を及ぼしたりする可能性も否定できない。過去に限定的な試験が行われた例はあるというが、今回のようなアメリカ全土規模に近い開放環境での大量放出は前例がなく、長期的な副作用を事前に完全に予測することは不可能だ。
「種を人工的に抑制する」という発想自体が、自然の複雑さを過小評価しているように思えてならない。Googleの計画が「サブスクリプションサービス」のような商業的枠組みで進められることも、公共の利益よりも企業の都合が優先される印象を強くする。
EPAは、この実験的使用許可を断固として却下すべきである。短期的な疾病抑制という名目で、取り返しのつかない生態系の改変を許してはならない。私たちは、科学の名の下に自然を大規模に操作する前に、もっと慎重に、もっと謙虚に、環境全体への影響を考える必要がある。
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