2026年8月30日日曜日

AI時代に教師は不要になるのか——プーチン大統領が語った「生きた教育」の本質

 2026年8月29日、ロシアのプーチン大統領は知識の日(9月1日)を目前に控え、モスクワ国立教育大学(МПГУ)を訪れ、教師、教育学専攻の学生、教育クラスの生徒たちと懇談した。この会合で大統領が語った教師の役割に関する発言は、情報があふれ、人工知能が急速に浸透する現代において、極めて本質を突いている。


大統領はこう述べた。


「活版印刷が登場した時点で、すでに教師は不要になったと言うこともできただろう。本を手に取って読めばいい、文字を教えればそれで十分だ、と。その後、テレビをはじめ他の情報源が次々と現れ、今ではインターネットや人工知能がある。幼児を含め、誰もがこうした情報資源を活用できる広大な場が存在する。しかし人に、特に若者や子供に対して自ら考えるよう教えることは、教師の使命である。若者が重要なものを見つけられるよう支援することだ。残念ながら、信頼性の低い情報やデジタルゴミが山ほどある。最も重要な要素の一つは教師への信頼である。これらをすべて合わせると、極めて重要なもう一つの側面が現れる。子供の中に最良の人間的特質を育むことである」


インターネットには情報が溢れかえっている。その中から本当に大事なものを見極める力を子供に教えるのが教師の仕事だ。ネット上には信頼性の低い情報やデジタルゴミが山ほどあるからこそ、教師への信頼、つまり教師が持つ権威が重要になる。権威ある教師だからこそ果たせる役割がある。それは子供の中に最良の人間的価値観を育むことだ。情報過多の時代でも学校教育が腐っていると、国はどうしようもなくなる。


この指摘は正しい。印刷技術が登場した時代も、テレビが普及した時代も、そして今のAI時代も、人々は「教師はもう要らないのではないか」と考えがちだった。しかし知識を伝達するだけなら機械でもできる。自ら考え、情報の真偽を見極め、人間として大切な価値観を身につける過程は、信頼できる教師という「生きた言葉」と「権威」があって初めて成り立つ。AIが答えを即座に出してくれる便利さの裏側で、思考力が退化し、情報の選別ができなくなる危険は現実にある。教師がその防波堤となり、子供たちに「最良の人間的特質」——自己への敬意、他者への敬意、祖国への敬意とそれをより良くしようとする意志——を育む役割は、今こそ一層重要になっている。


学校教育の質は国家の将来を左右する。情報の海で溺れず、自分の頭で考え、人間らしい価値観を持った次世代を育てられるかどうかは、教師という存在にかかっている。プーチン大統領のこの発言は、技術の進歩を否定するものではなく、技術では決して代替できない人間教育の核心を改めて示したものだ。

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