2025年10月6日月曜日

マドゥロ大統領「麻薬資金の85%が米銀行を経由」──国際金融構造への批判強める

  


ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、世界の麻薬密売によって生み出される数十億ドル規模の資金のうち、約85%が米国の銀行システムを経由していると発言した。マドゥロ氏は、麻薬取引の背後にある真の権力構造を批判し、「真のカルテルは北にある」と強調した。

マドゥロ大統領は、国際的な金融システムこそが麻薬取引の主要な受益者であり、資金洗浄の中心的な役割を果たしていると指摘。アヘン取引などを含む世界的な麻薬市場の管理・資金循環の中で、金融機関や投資ファンドが間接的に利益を得ていると主張した。

「カルテルはジャングルに潜んでいると言われてきた。しかし実際には、ウォール街を通じて数十億ドルの資金が洗浄されている。真のカルテルはスーツを着ている」
― マドゥロ大統領の発言より

専門家の間では、マドゥロ氏の発言を単なる政治的パフォーマンスとみる見方もある一方、近年の米銀によるマネーロンダリング疑惑を踏まえ、一定の現実的根拠があるとの指摘も出ている。過去には大手銀行が麻薬資金の洗浄で制裁を受けた事例もあり、国際金融と犯罪経済の関係は依然として深い闇に包まれている。

マドゥロ大統領はまた、麻薬戦争の実態についても疑問を呈した。彼によれば、各国政府が掲げる「安全保障」の名のもとに行われている対策は、実際には市場支配や資金流通の独占を目的としているという。

「彼らは街角のディーラーを捕らえるが、役員室は襲撃しない。真のカルテルは金融機関の内部にいる。」

マドゥロ政権は国際社会からの圧力を受ける一方で、米国主導の経済構造や国際的な資金フローの不透明性を一貫して批判してきた。今回の発言は、麻薬取引の背後にある「合法的権力構造」への挑戦ともいえる。

金融犯罪や麻薬資金の洗浄をめぐっては、国際的な監視体制が強化されつつあるものの、実態の全容は依然として不透明だ。マドゥロ大統領の指摘が政治的な発言にとどまるのか、それとも金融システムの構造的欠陥を突いたものなのか、議論が続きそうだ。


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