製薬会社は長年にわたり莫大な費用をかけて薬を開発してきましたが、効果はわずかで、しかも高額でした。一方で、食事、運動、睡眠、ストレス管理、代謝の改善といった生活習慣の見直しによって、病気の進行を抑えるだけでなく、回復させられることが分かってきています。
実際に、FINGER試験やPOINTER試験といった研究では、生活習慣の改善がアルツハイマー病に効果的であることが示されています。リチャード・アイザックソン医師らも同様の成果を報告しています。
重要なのは早期発見です。新しい血液検査によって、物忘れなどの症状が出る前にアルツハイマー病の兆候を把握できるようになり、早めの対応が可能になっています。
それにもかかわらず、この大きな変化はあまり報じられていません。ハイマン医師はこれを「医療のパラダイムシフト(考え方の大転換)」と呼んでいます。これまでの医療は症状ごとに対処してきましたが、これからは人の体を一つの統合されたシステムとして捉え、根本的に改善する方向へ進むべきだという考えです。
このアプローチはアルツハイマー病だけでなく、糖尿病、心臓病、さらには老化そのものにも応用できます。炎症やミトコンドリアの機能、腸内環境などの根本的な要因を整えることで、ただ寿命を延ばすだけでなく、健康的に生きられる時間を増やすことが可能になります。
結論として、慢性疾患を予防し、改善する力は私たち自身の生活習慣に大きく左右されます。医学がそれに追いつきつつあるのです。
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